思いは自分ではない
事実はただ事実として存在しています。
思考、感情、気分などいろいろな思いという行為、あるいは、現象そのものはたしかに事実として存在します。
そして、思いの内容は事実に附合することもあれば、附合しないこともあります。
でも、思いは自分自身ではありません。
思いは思いとしてただあるだけです。
思いはどこからともなく現われ、そのままにしていると、いつのまにか消えてしまいます。
思いはちょうど空に浮かんでいる雲のようなものです。
雲はどこからともなく現われ、そのままにしていると、いつのまにか消えてしまいます。
でも、思いが自分だと思い込んでいると、その思いに入り込んでしまいます。
その結果、その思いはどんどん膨れ上がっていきます。
思いの雲は見る見るうちに発達して積乱雲のようになったり、空一面が薄黒い灰色の雲で覆われてしまいます。
そして、結局は自分も苦しみ、周りの人も苦しむことになります。
思いが現われるのは自然なことで、それが悪いということではありません。
けれども、それを自分と思っていれば、その中に浸りこんでしまって、自分自身を見失ってしまいます。
思いはただ思いとしてながめていればよいのです。
ジル・ボルト・テイラーというアメリカの脳解剖学者がとても面白い研究報告をしています。
その報告によると、
脳内には怒りや悲しみなどそれぞれの感情を司る特定の部位があります。
何かのきっかけで、たとえば、怒りを司る部位が活性化します。そうすると怒りが発生します。
でも、それをそのままにしておくと、怒りを司る部位は90秒以内にもとの状態にもどります。そして、怒りも消えてしまいます。
その他の感情についても同じです。
ところが、それらの感情に入り込んでしまうと、その感情はますます大きくなり、長く持続するのだそうです。
要するに、たとえば、怒りが出てきた時に、「自分が怒っている」と思うからますます怒りが大きくなるのです。
怒りはただ怒りがあるだけです。
それをじっとながめていればよいのです。
そうすれば、90秒以内に消えてしまいます。
これは日常生活のなかで、そのたびにやってみれば、誰にもわかることです。
そして、何回もやっているうちに、いつの間にか、腹もだんだん立たなくなっていきます。
そして、ついには、どんな状況においても腹が立つということがなくなります。
他の感情や気分についても同じです。
特に、気分的に落ち込みやすい方は「気分は自分ではない」ということにはっきりと気がつくことが肝要です。
そのためには、瞑想の自然法を毎日実践することです。
そして、日常の生活の中でも、ふとしたときを捉えて、1分間でも2分間でも、「思いをただながめる」ということをこころがけてください。
僕はそれを「自観法」と呼んでいます。
思考や感情や気分などの思いに振り回されないことが楽に生きる秘訣です。
それは同時に、常に本来の自己に立ち戻るということです。
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