驚異的な体のハタラキ その4
(その3からのつづき)
この社会に生きるほとんどの人は熱が出ると、「熱は悪い」と考え、体を冷やしたり、薬をのんで熱を下げようとします。
これは“文明の進んだ社会に生きる現代人”にしてはあまりにもお粗末な短絡思考と言わざるをえません。多くの人は熱が出た時に「体にとって熱は悪いもの」と決めつけ、「熱がなぜ出たのか?」と考えようともしません。
熱が出るのは体にとって必要だからです。このことは野口整体を理解している人にとっては常識でしょう。
では、なぜ熱が出る必要があるのでしょうか?
それは体の不具合を調整して回復させようと、体温を上げて体内の化学反応を促進したり、汗をかいて有害な物質を体内に出すためです。
熱を外部から強制的に下げたらどうなるでしょうか? 体はあらためてさらに高い熱を出そうとするでしょう。あるいは、外部からの強制力によって、体温を上げる機能が弱まり、不具合いは治らないままに内向して蓄積して、ついには心筋梗塞やガンなどの重篤の病気にかかるというような事態を招くことになるかもしれません。
実際に、重篤の病気のほとんどはこのような間違った考え方による、まさに、不自然な処置や生活の積み重ねによって起きるのです。
”痛み“についても、多くの人は悪いものと考え、痛み止めの薬を飲んだり塗ったりして痛みを感じないようにします。
では、痛みがある時に痛み止めの薬を飲んで痛みが消えてしまったらどうでしょうか? それで“一件落着“なのでしょうか?
いいえ。痛みは必要があって起こっているのです。何の必要かと言えば、体のどこかに不具合がある場合に、それを本人に知らせて、その不具合の部位に気を集中させ、回復を促進させたり、何とか処置をするようにさせるためです。つまり、痛みは警報装置のようなものです。
ですから、痛みが出ている時に、痛みを消してしまったら、不具合は回復したどころか、かえって大変な状態になってしまうでしょう。
このように、チンパンジーやゴリラでも、イヌやネコでも大自然の法則に沿って的確な処置をしているのに、万物の霊長とも称される人間が、それこそ、間違った考えによって、もっとも愚かな行為をしているのは一体どうしたことでしょうか?
ほとんどの人は、科学や産業などの進歩に伴い私たちの文明はどんどん進歩していると考えているようです。確かに、原始時代の生活や何千年前、何百年前の生活などに思いを馳せると、一面はそのようにも見えるかもしれません。
しかし、もう一面から見れば、私たちの社会やその中での生活はますます大自然の法則から離れて行って、滑稽としかいいようもない不自然な状況に陥ってしまっていると言っても過言ではないでしょう。
これは、ひとえに、私たちが表面的な生活水準の向上に目を眩(くら)まされて、アタマをますます頼りにするようになってきたためだと言えるでしょう。
私たちは今こそ、「自分は何か? 存在の真実は何か?」というテーマに真剣に向かい合い、目の前に厳然として存在する、当たり前の真実を見失わないようにしなければならないのです。
(つづく)
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