星の王子さまアレコレ その11
星の王子さまはとうとう地球にやってきました。そこは人の住むところから何千キロも離れた荒涼とした砂漠の真ん中でした。王子さまは人に会いたいと思いどこともなく歩いて行きました。でも、そこで出会ったのは一匹のヘビと花びらが三つ付いた一輪の花だけでした。
王子さまは高い山に登りました。その山の上からはこの星の全体と住んでいるすべての人が見えるだろうと思ったのです。でも、そこから見えるのはただ尖った刃のような岩だけでした。
「こんにちは」 王子さまは当てもなく言いました。
「こんにちは・・・こんにちは・・・こんにちは・・・」と、こだまが答えました。
「君は誰?」 王子さまが言いました。
「君は誰?・・・君は誰?・・・君は誰?・・・」と、こだまが答えました。
「僕の友達になってよ・・・僕はひとりなんだ」 王子さまが言いました。
「僕はひとりなんだ・・・僕はひとりなんだ・・・僕はひとりなんだ・・・」と、こだまが答えました。
*****
この箇所を読むたびにその情景が目に浮かび涙が出ます。その時王子さまは何てさびしかったのでしょう。
僕も小学校の低学年のころ何度も同じように深いさびしさを感じていました。その後ははっきりと感じるということはなくなりましたが、僕は今でも自分の心の奥にこのさびしさがひっそりと潜んでいるような気がしています。これまでも、そのさびしさがどういうことなのか、その根源はと自分に問うてみたこともあるのですが、わかるようで、わかりません。
もしかしたら、自覚しているかどうかは別として、本当は、人はみんな同じように心の奥に深いさびしさを抱いているのではないかと思ったりもするのです。だからこそ、人はみんな人を、犬を、ネコを、花を、自然を、星空を愛さずにいられないのではないかと・・・。
王子さまは歩き続け、やっと1本の道を見つけ、そこを歩いていくと、たくさんのバラの花が咲いている庭がありました。それらの花は王子さまの星に少し前に咲いた花とそっくりでした。王子さまは自分が特別の花を持っていると思っていたのに、その花はどこにでもある花の一つにすぎなかったと思って悲しくて泣きました。
ふたたび歩いていくと、キツネに出会いました。キツネは王子さまに飼いならしてほしいと言います。
「飼いならすって?」と、王子さまが尋ねると、キツネが答えます。
「仲良くなることだよ。そうなるまでは、僕は君にとってただのキツネだ。君も僕にはただの人間だ。でも仲良くなれば、僕は君にとってかけがえのない存在になる。君も僕にとってこの世でたったひとりの人になるんだよ」
こうして、王子さまはキツネと仲良くなりました。そして、もう一度バラの花の庭に行きました。そして、バラの花に言うのでした。
「君たちは僕の花とはまるっきり違う。僕は君たちと仲良くしなかったし、君たちも僕と仲良くしなかった。君たちは美しいけど、ただ咲いているだけだ。僕の花も他の人は君たちと同じ花だと思うだけだ。でも、あの一輪の花は僕にとって誰よりも大切なんだ。だって、僕が水をかけてやったんだから」
*****
この世界ではすべてが一期一会です。