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昇平

Author:昇平
「いのちの塾」へようこそ!

僕は普段は標高650メートルの山の中に家族と仲間そしてネコ10匹と一緒に生活しています。

そして、その合間に日本やヨーロッパの各地で「本当の自分は?」「本当の平和を実現するには?」などをテーマに講演をしたりセミナーを主宰しています。

このブログでは、僕が体験的に捉えた人生やこの世界の真実について書いていきます。

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星の王子さまアレコレ その11

星の王子さまアレコレ その11

星の王子さまはとうとう地球にやってきました。そこは人の住むところから何千キロも離れた荒涼とした砂漠の真ん中でした。王子さまは人に会いたいと思いどこともなく歩いて行きました。でも、そこで出会ったのは一匹のヘビと花びらが三つ付いた一輪の花だけでした。

王子さまは高い山に登りました。その山の上からはこの星の全体と住んでいるすべての人が見えるだろうと思ったのです。でも、そこから見えるのはただ尖った刃のような岩だけでした。

「こんにちは」 王子さまは当てもなく言いました。
「こんにちは・・・こんにちは・・・こんにちは・・・」と、こだまが答えました。
「君は誰?」 王子さまが言いました。
「君は誰?・・・君は誰?・・・君は誰?・・・」と、こだまが答えました。
「僕の友達になってよ・・・僕はひとりなんだ」 王子さまが言いました。
「僕はひとりなんだ・・・僕はひとりなんだ・・・僕はひとりなんだ・・・」と、こだまが答えました。

*****

この箇所を読むたびにその情景が目に浮かび涙が出ます。その時王子さまは何てさびしかったのでしょう。

僕も小学校の低学年のころ何度も同じように深いさびしさを感じていました。その後ははっきりと感じるということはなくなりましたが、僕は今でも自分の心の奥にこのさびしさがひっそりと潜んでいるような気がしています。これまでも、そのさびしさがどういうことなのか、その根源はと自分に問うてみたこともあるのですが、わかるようで、わかりません。

もしかしたら、自覚しているかどうかは別として、本当は、人はみんな同じように心の奥に深いさびしさを抱いているのではないかと思ったりもするのです。だからこそ、人はみんな人を、犬を、ネコを、花を、自然を、星空を愛さずにいられないのではないかと・・・。


王子さまは歩き続け、やっと1本の道を見つけ、そこを歩いていくと、たくさんのバラの花が咲いている庭がありました。それらの花は王子さまの星に少し前に咲いた花とそっくりでした。王子さまは自分が特別の花を持っていると思っていたのに、その花はどこにでもある花の一つにすぎなかったと思って悲しくて泣きました。

ふたたび歩いていくと、キツネに出会いました。キツネは王子さまに飼いならしてほしいと言います。
「飼いならすって?」と、王子さまが尋ねると、キツネが答えます。
「仲良くなることだよ。そうなるまでは、僕は君にとってただのキツネだ。君も僕にはただの人間だ。でも仲良くなれば、僕は君にとってかけがえのない存在になる。君も僕にとってこの世でたったひとりの人になるんだよ」

こうして、王子さまはキツネと仲良くなりました。そして、もう一度バラの花の庭に行きました。そして、バラの花に言うのでした。
「君たちは僕の花とはまるっきり違う。僕は君たちと仲良くしなかったし、君たちも僕と仲良くしなかった。君たちは美しいけど、ただ咲いているだけだ。僕の花も他の人は君たちと同じ花だと思うだけだ。でも、あの一輪の花は僕にとって誰よりも大切なんだ。だって、僕が水をかけてやったんだから」


*****

この世界ではすべてが一期一会です。





星の王子さまアレコレ その10

星の王子さまアレコレ その10

星の王子さまが訪ねた6番目の星は10倍も大きな星で、そこには年取った人が何冊も大きな本を書いていました。

王子さまが「その大きな本は何? 何をしているの?」と尋ねると、彼は「わしは地理学者だ」と答えました。

「地理学者って?」
「海や川や砂漠がどこにあるか知っている学者だよ」
「あなたの星はとても綺麗ですね。ここには海があるの?」
「知らないよ」
「じゃあ、山は?」
「知らないよ」
「じゃあ、町や川や砂漠は?」
「それも知らないよ」
「でも、あなたは地理学者でしょ?」
「地理学者は探検家じゃないんだよ。地理学者は大切な仕事をしているんだから、あちこち出かけている暇なんかない。いつも仕事部屋に閉じこもっているんだ。探検家がやってきたら、相手の報告を聞いて面白いと思ったら、それをノートに書き留める。それから相手がしっかりした人間かどうかを調べる。たとえば、嘘をついていれば、地理の本がとんでもないものになる。飲んだくれだったら、一つのものが二つに見えるから、山が一つしかないのに、山が二つあると本に書いてしまうことになる。探検家の素性がよさそうだったら、調査をする」
「見に行くの?」
「見にはいかないよ。何か証拠になるものを持ってきてもらうというわけだ」

*****

以上の問答はサンテグジュペリが現代の専門化が進みすぎた学者の世界と、それに加えて、実物をよく見もしないのに、単なる表面的な知識だけで本当に分かった気になりがちな現代人の有様をユーモラスな表現で辛らつに風刺しているように僕には思えます。


地理学者が続けて言います。「そう言えば、君も遠くからやってきた探検家だ。君の星のことを話してくれ」
「僕の所は小さな星で大したものはありません。火山が三つあって、二つが活火山で、一つが休火山です。花も一つありますよ」
「地理学者は花のことなんか書かないよ」
「どうして? とてもきれいなんですよ」
「花は はかないものだ。地理学の本にはいろいろな本の中で一番大切なことが書かれているんだ。流行遅れになることがない。山や大きな海はなくなったりすることがない。わしらはいつまでも変わらないことを書くのだよ」
「はかないってどういうこと?」
「それはそのうちに消えてしまうという意味だ」
「僕の花はいつか消えてしまうの?」
「そうだよ」

王子さまは考えました。「僕の花ははかない花なんだ。自分の身を守るのにたった4本のトゲしか持っていない。そんな花を僕は一人ぼっちにしてきたんだ」そして、王子さまはその花を初めてなつかしく思ったのです。

*****

真実はこの世界で出会うものは(そして、出会わなくても)すべてはかないものなのです。だからこそ、みんな宇宙一杯に輝いているのであり、たった一つの出会いでさえもいとしいのです。


王子さまは地理学者に尋ねます。「僕は次はどの星を訪ねたらよいでしょうか?」
地理学者が答えました。「地球がよいと思うよ。なかなか評判がいいから」

王子さまは遠くに残してきた花を思いながら地球に向けてその星を出発しました。






星の王子さまアレコレ その9

星の王子さまアレコレ その9

星の王子さまが5番目に訪ねた星はこれまでで一番小さな星でした。その星には街燈が立っている場所と点燈夫とがいられるくらいの場所しかありませんでした。

この付近には家もないし、他に人もいないのに街燈と点燈夫にどんな役目があるのか王子さまには不思議でした。

それでも、王子さまには、その役目はこれまで会った王様やうぬぼれ屋や実業家や呑み助に比べて意味があるように思いました。

そして、「少なくとも街燈に火を灯すことは星を一つよけいにキラキラ輝かせるようなもので、とてもきれいな仕事だ。だから、とても役に立つ仕事だ」と王子さまは思いました。

星に到着すると、王子さまは点燈夫に挨拶をして尋ねます。「こんにちは。どうして街燈の灯りを消したの?」
「命令だよ。やあ、おはよう。」点燈夫が答えます。
「どんな命令?」 王子さまが尋ねます。
「灯りを消すことだよ」と点燈夫は答えて、また灯りを着けました。
「え、なんでまた灯りを着けたの?」と王子さまが尋ねます。
「命令だよ。」 点燈夫が答えます。
「分からないな」王子さまが言います。
「分かるも分からないもないんだ。命令は命令だ。やあ、おはよう。」と点燈夫は言って、灯りを消します。そして、額の汗をハンカチで拭きながら言います。
「これはとんでもない仕事だよ。昔は理屈に合っていたんだがね。朝になると灯りを消して、夕方になると灯りを着ける。だから、昼は休めるし、夜は眠れたんだ。」
「その後、命令が変わったんだね」 王子さまが尋ねます。
「命令は変わらないよ。とんでもないことに、星が1年ましに速く回るようになったのに、命令は変わらないんだ。今ではこの星が1分間に1回転するようになったせいで、何しろ1分間に一度灯りを着けたり消したりしなきゃならないんだから、俺は1秒たりとも休めなくなってしまったんだよ。」 と点燈夫が答えます。
「1分間が1日? 変だなあ。」 と王子さまが言います。
「変なことはないさ。俺たちはもう一月、つまり、30日も話しているんだよ。やあ、こんばんは。」 点燈夫が答えます。

王子さまはこんなにも忠実に命令を守る点燈夫が好きになりました。「この点燈夫は王様やうぬぼれ屋や呑み助や実業家からは軽蔑されるだろうが、僕に滑稽に見えない人はあの人だけだ。あの人は自分のことでなく、他のことを考えているからだろう。この人とは友達になりたかったな。でも、この星は僕ら二人が住むには小さすぎるだもの」と思いながら、王子さまは再び旅に出るのでした。

*****

この話を読んで、まず思うことは、どんな命令でもただ忠実に守ればよいというものではない。命令や規則はどこまでもみんなの実情に沿ったものでなければならない。そして、どんな命令や規則でも強制するべきではない、ということです。

もう一つ。「僕に滑稽に見えない人はあの人だけだ。あの人は自分のことでなく、他のことを考えているからだろう。」この言葉は光っています。





星の王子さまあれこれ その8

星の王子さまあれこれ その8
(その7からのつづき)

「で、星を持ったらどうするの?」 王子さまが尋ねます。
「管理するんだよ。つまり、何度も何度も数え直すのさ。これは難しいがとても大事な仕事だ。わしは真面目な男だから、いつも忙しいのだ」 実業家が答えます。

* 王子さまは他の箇所でこの実業家のことを次のように言っています。

その人は花の匂いも嗅いだことがない。星を眺めたこともない。誰も愛したことがない。足し算ばかりやっているんだ。毎日毎日、一日中、君みたいに「忙しい。忙しい」と言いながら威張っているんだ。それで顔が赤黒いんだよ。

*****

いつも数字だけを考えているということは、その中身にまったく関心や興味がないということです。たとえば、人と出会っても、本当の意味で出会ってはいないということです。

また、僕はこの箇所を読むたびに仕事中毒のビジネスマンやサラリーマンなどの姿を連想してしまいます。本当に必要で大切な仕事に熱心なことはとてもよいことですが、そうでなければ、まったく意味がありません。

*****

そう言われても王子さまにはどうも腑に落ちません。そこで尋ねます。
「結局、それでどうするの?」
「銀行に預けることができる」 実業家が答えます。
「それって、どゆこと?」 王子さまが尋ねます。
「紙の上に持っている星の数を書いて、それを引き出しにしまって、カギを掛けておくんだよ」 実業家が答えますが、王子さまには実業家が言うことがよくわかりません。
王子さまは実業家に言います。
「僕は花を持っているけど、毎日花に水を掛けてあげる。そうしないと花がしおれてかれてしまう。また、小さな3つの火山も定期的に煤を払う。そうしないと、火山がいつ爆発するかもしれないんだ。僕が花や火山を持っていることは、それがいくらかでも花や火山のためになっている。でも、君は星を持っていても星のためにはなっていない。・・・」

王子さまは実業家の星を離れて旅を続けながら何度もつぶやきます。
「大人ってホントに変だ!」

*****

真面目であればよいというわけではないのです。どういう目的に対して真面目であるのかが問われなければならないのです。同様に、ゆとりがあればよいというわけではないのです。どういう目的に対してゆとりがあることが大切なのかが問われなければならないのです。最も大切なことは、表面的に生きるのでなく、人生の中でのすべての出会いを心から味わいながら生きていくということです。

また、この話の中に王子さまが「この実業家は呑み助に似たところがあるな」と感じるところがあります。そこのところは見逃されやすいかもしれませんが、とても考えさせられます。

それは、この社会においては、一般的に、人生の真の目的を実現しようという創造的な気持ちを持つことなく毎日同じような生活繰り返しがちであるということです。そして、そのように生きることが平凡でささやかな幸福と平和を支えているように見えながら、個人の生活を含めてこの社会全体が負のスパイラルの、いわば、ワナに陥ってしだいに深みに引きずり込まれて行っているのではないかということです。





星の王子さまアレコレ その7

星の王子さまアレコレ その7

星の王子さまが四番目に訪ねた星には実業家が住んでいました。

この実業家はとても忙しくしていたので、王子さまがやってきても頭を上げようともしません。また、王子さまが「タバコの火が消えてますよ」と注意してあげても仕事を続けています。仕事というのは計算することです。

「3足す2は5。5足す7は12。12足す3は15。やあ、こんにちは。15足す7は22・・・どうもタバコに火を着ける暇もない。26足す5は31。いいぞ。これで5億162万2731だ。」と実業家がひとりごとを言っています。
「5億って、何が?」 王子さまが尋ねます。
「山のような仕事でわしは忙しいのだ。大事な仕事をしているんだ。くだらないことにかかわってはいられないのだ」と実業家。
「何が5億なの?」とふたたび王子さまが尋ねます。
「空の星だよ」王子さまがしつこいので、実業家が仕方なく面倒臭そうに答えます。
「5億もある星をどうするの?」と王子さま。
「どうもしないよ。持っているだけさ」と実業家。
「持っているって。じゃあこの間会った王様は?」と王子さま。
「王様は何も持っていない。王様は支配するんだよ。これは大変な違いだ」と実業家。
「それで、星を持っていると何の役に立つの?」 と再び王子さまが尋ねます。
「金持ちになるためだよ」と実業家。
「金持ちになってどうするの?」と王子さま。
「金持ちになれば誰かが他の星を見つけたら、その星を買えるじゃないか」と実業家。
王子さまはこの実業家はこの前に会った呑み助と似ているなと思いました。

*****

サンテグジュペリが言う「所有することと支配することは違う」ということは概念としてはまったくその通りです。しかしながら、現実の社会では土地を所有する者がその土地を自分の都合のよいように勝手に使っています、つまり、ある意味で、その土地を支配しているのです。あるものを所有しているということは、所有者はそれを自分の好きなように使うことができる権利を持っているということです。それが所有という概念の定義であることはそれこそ明快に理解しておく必要があります。

*****


「星はどうしたら自分のものになるの?」 王子さまが再び尋ねます。
「そもそも、星は誰のものだい?」 実業家が答えます。
「誰のものでもないでしょ」 王子さまが答えます。
「じゃあ、わしのものだ。わしが一番に星を所有することを考えたのだから」 実業家が答えます。
「考えるだけでいいの?」 王子さまが尋ねます。
「そうだよ。誰のものでもないダイヤモンドを見つけて自分のものだと思ったら自分のものになる。誰のものでもない島を見つけて自分のものだと思ったら自分のものになる。あることを考えついたら特許を取れば自分のものだ。だから、星はわしのものだ。わしより先に星を自分のものにしようと考えたものはいないのだから」 実業家が答えます。

*****

星でもなんでも、そのもの自体は、本来、誰のものでもありません。

この単純な真実に人類全体があらためてはっきりと気づかない限り、人類はいつまでも混乱と苦しみから脱することはできないのです。

(つづく





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